くろのせかい

僕は常に溺れている。
どうにか手を明るい方へと伸ばしてあがき続けても、それでも波に捕われた身体は言う事を利かずただ暗い底へと堕ちてゆく。
(どうして、僕は)
自分の思う道を進んで、彼に出会って、やはりこれが僕の道なのだと。
そう確信して、自惚れて。そうだ、間違ってなどいない。
(暗闇は、暗くなるだけ)
その考えこそが、違っていたのだと気付く時にはもう遅く。彼は僕の前から簡単に消えてしまった。
胸に出来た大きな傷は、同じく僕の胸の奥深くにも出来ていた。
ああ、もっと早くに気付いていればこんな事にはならなかった！
僕の歩いてきた道は黒に溶けて、後戻りなど出来やしない。
我雨、僕を憎むのならば憎んで欲しい。同じ道を歩かされた君は、もう決して白い世界には戻れない。
だからこそ、君は戻ってこない。
それでも僕はあがき続けて、身体がぼろぼろになろうとも、より明るい方へと手を伸ばすんだ。
僕は常に溺れている。

「会いたかった、雷光さん」


けれど、ああ、やっと光が見える。



8巻の雷光さんが可哀想で可哀想で仕方なくって、でも復活した我雨のお陰で幸せになれそうな雷光さんが素敵だったので思わず書いてしまった。
大分カオス＼(^O^)／こんなの好きです。